演劇やミュージカルなどの舞台公演をする方法。必要な準備や手順とかを書いてみる。

掲示係です。
劇団5-4が舞台公演をする際にやってきたこと、必要だった準備などを書き並べてみます。
随時、追記していきたい。

公演の時期/日時を決める

まずは団員のスケジュールを確認し、必要となるメンバーが揃っているタイミングを把握して、公演日程を決めます。
  • 演出
  • キャスト
  • 舞台監督
  • 技術スタッフ
  • 制作
  • 当日フロア...など

公演チケットの詳細を決める

  • チケット料金、座席数、販売方法(前売り、取り置き、当日精算)
  • 招待券の有無
  • 未就学児の対応
  • イレギュラーな対応の判断目安はどうするか

イレギュラーな例1:日付指定チケットなのに別日時で来場されてしまったら

当然のように断るのか、当日券の購入を勧めるとか、はたまた大目に見る...のか??

イレギュラーな例2:前売り券の当日払い戻し

前売り券を購入した2人組。当日になって片方だけが来場され、「もう1人が来れなくなったので、1人分を払い戻してくれませんか?」とのこと。

物販の有無

  • グッズ企画、金額設定
  • 発送期間の目途は受付スタッフで事前共有
  • 「歌詞カードはCDについているのか」など基本情報の周知

客演参加者の有無

  • 客演を予定しているなら面談アポをとる
  • チケットバックか、ギャラか、有志(ノーギャラ)か

制作担当の割り振り

公演の規模によって変動するかもしれませんが、基本的には下記のような担当が必要になってくると思います。できるだけ兼任は避けたいところですが、人数の制限や連絡の手間を考慮した場合、代表や演出が兼ねたりすることもあります。
  • 統括(制作スケジュールの管理)
  • 会計(予算組み、公演後の決算)
  • 渉外(練習場所の確保)
  • チケット管理
  • 宣伝美術
  • アンケート作成
  • 打ち上げ係(会場、金額、客演負担料金の確認)
  • ビーチパーティー係

アンケート作成について

公演のフィードバックを頂くことは、劇団にとって貴重な財産。
作成の際に決める必要があるのは、以下のような内容となります。
  • 紙に記入するのか、Webアンケートか、それとも両方を用意するのか
  • アンケート項目をピックアップ
  • 誰がどのように印刷し、誰が会場に持って行くのか


台風時の対応を事前に確認しておく

沖縄は台風が直撃することの多い地域です。
事実、劇団5-4は本公演の際に直撃され、公演延期をせざるを得なかった苦い経験があります。事前に対応を想定しておくことが必要でしょう。
ここでは、過去にシミュレーションした例を記載しておきます。
  • 本番2日前の夜に暴風域の予報円が本番日へかかっていたら中止を決定する(※「本島北部のみ」など地域限定の場合は、実際の風速など状況に応じる)
  • 本番前日の朝には、状況によって何らかのインフォメーションをWebに掲載する。
    例)予報円が既にかかっている場合:「中止です」
    例)予報円がまだかかってない場合:「今後、予報円に入った時点で中止です」
  • 実際に予報円がかったタイミングで、Webに再インフォメーションを掲載する
  • チケットを手売りで販売した団員は、それぞれのお客様に連絡を入れる
  • 手売りした各お客様へ連絡済みなのかどうかの確認は、払い戻しが発生するから会計さんが担当しよう...など

本番会場の選定

どこで上演するのかも重要な要素です。予算や作品、劇団の状況といった複数の観点から候補を絞っていきます。ホールの予約は半年~1年前から受け付けていることが多いため、空き状況の把握は必須です。
ホール公演をする際は、劇場自体の下見も行うべきでしょう。事前に確認しておきたい項目は数多くあります。
  • 料金表や舞台図など資料一式の入手
  • 本予約する際の手続き方法
  • 舞台の間口、奥行き、高さ
  • 幕の数、種類、配置
  • 幕は自動か手動か(操作を劇団側が担当して良いのか、否か)
  • 袖幕は片側操作か両側操作か
  • 幕と幕の幅
  • 幕の開閉時間
  • 装置の大きさ(せりあがり等)
  • 花道の有無
  • 搬入口の場所、サイズ
  • オケピの有無
  • 道具の数、サイズ
  • 上手から下手の移動にかかる時間
  • ピンスポの数(操作を劇団側が担当して良いのか、否か)
  • 駐車場の規模
  • 台風時、日程変更にかかる費用や仕組み

舞台案の検討

公演企画がある程度まとまったら、台本と使用する劇場の仕様を確認しつつ、本編の創作準備を開始していきます。
練習が始まる前に大枠を詰めておけると進行がスムーズです。
  • 各シーンの舞台図案、使用する道具一覧、転換案を作成
  • 使用する道具の準備方法を仕分けする(借りる、加工、製作、キャスト各自用意)
  • 登場人物が入りはけするタイミングや場所を決める

練習の準備

台本が完成し、客演を含む公演メンバーも決まったら、いよいよ練習が開始します。
演出、または制作担当に細々した業務が発生し始めます。
毎回の練習時に必要となる基本的な準備を並べてみると、このような内容です。
  • キャストの出欠確認
  • 練習スケジュールを作成
  • 各資料は事前に配布しておきたい
  • 練習場所の予約
  • 練習欠席者への情報共有方法はどうするか
  • 練習中のタイムキープ担当は誰か
  • プロンプや代役の用意
  • 演出不在時の代理は誰が担当するか
  • 小道具管理
  • 衣裳管理

事前に用意しておきたい資料

演出部、または制作部は、事前に資料の用意をする必要が出てきます。
口頭で説明だけで済ませられる場合があるかもしれませんが、ホールでの公演など技術スタッフとの連携が発生する際は必須でしょう。
キャストの理解も早まるため、なるべく作成するようにしたい項目を挙げてみます。
  • 香盤表
  • 転換表
  • 転換の担当割り当て表(転換表に含まれる場合も)
  • 衣装案
  • 着替え香盤表
  • マイクプラン
  • 小道具表
  • きっかけ一覧

リハーサルの準備

練習によってカタチが見えてきたら、本番と同じ実寸での通し練習にも取り組みます。大道具や舞台転換、ダンスのフォ-メーションが多いほど難易度も高まり、実寸での練習が必要不可欠になります。
またその分、必然的に練習するための準備にも時間がかかり、丸一日がかりになることもめずらしくありません。
  • タイムスケジュール組み、搬出/搬入/配車の手配、ケータリング有無の確認
  • 本番実寸サイズの舞台作成(舞台面~奥、袖幕、上手から下手へ移動する通路、ダンス位置確認用ナンバーの割り当て)
  • 大道具が配置される場所への場ミリ(テープ類での印づけ)
  • 女性キャストの着替えスペース確保
  • 欠席している人の台詞および道具転換の代役を用意

音響の担当なら

予算や劇場のサイズを考慮した際、各キャストがマイクを装着したり、複数のマイクを使用する場合もあります。
  • マイクプランの作成
  • SEやBGMのきっかけ確認
  • 音源の用意
  • 影マイク(アナウンス用)、袖マイク(影コーラス用)、バウンダリーマイクなどの有無

照明の担当なら

演出によって希望する照明の具体的な度合いは変わっていきます。プランニングや実際の現場状況によって融通が利くよう、照明案を理解しておくことは大事。
特に複雑な構成のダンス振付がある場合、「サスありき」といった特定の照明が前提になっているかもしれないので注意が必要です。
  • 各シーンが表したい内容
  • 場所
  • 季節または天気
  • 時間帯や時間の変化

衣装の担当なら

特に早着替えのある場合は専用スペースを確保したりするため、他の部門と情報を共有しないでいると舞台転換や袖にいるスタッフへ悪影響を及ぼす可能性があります。転換表や通し練習を通して問題がないか検討します。その他にも確認しておきたい項目も複数あります。
  • マイクの受け渡しは演技に支障がないか、確認用ダミーマイクとベルト等で検証
  • 着替えが遅れてしまったキャストの洗い出しと、その対応策を検討する(着替え補助をつける、衣装自体の修正)

チケットの配布~回収

練習と並行して公演チケットを作成し、販売していきます。現時点での劇団5-4は事前決済サービスを導入しておらず、前売り券の販売は手売りか取り置き予約という方法に限定しています。そのため大部分のチケットをメンバーへ配布し、本番1か月前頃から下記を回収していきます。
  • 各メンバーが手売りしたお金
  • 取り置きチケット
  • 余ったチケット(当日券に回します)

当日フロア

事前の劇場打ち合わせ日などを利用し、当日フロアの受付や誘導プランをたてます。観劇時の印象に大きな影響を及ぼすポイントでもあり、現場を仕切るフロアマネージャーは早い段階で担当者を決めたいです。
  • メンバーの途中入りハケがあれば先に把握
  • 列整理、場内整理、ドアマン配置
  • 導線確認、段差注意、席を詰めて座ってほしい旨のインフォメーション、トイレ場所のインフォメーション(小さな会場の際、上演中の使用不可なら要事前インフォ)
  • 屋外に整列する場合は、雨天時の対応
  • 上演中のドア開閉OKなタイミングの把握
  • チケット販売窓口の設置(ブース、チケット、取置リスト、おつり、電卓、封筒、必要なら整理券も用意)
  • 物販があるなら専用ブースも設置(領収書、はんこ)
  • チケットもぎり、パンフレット、アンケート用紙、記入用のペン(ちゃんと書けるか確認)、アンケート/ペン回収BOX
  • 事前に折込みチラシの依頼も把握し揃えておく
  • チケットによってはハサミなども用意
  • 花束や差し入れ等の預かりスペース確保
    • お客様の名前と、誰宛なのかが判別できるように準備(表や付箋紙)
    • お客様が直接渡したくて本番中預かるだけなのか、こちらで渡しても良いのかも合わせて確認する
  • 開演するための条件や連絡手段を舞台監督と確認
    • 並んでるお客様が入場しきれているのか
    • (小さな劇場であれば)トイレに入ってる人はいないか
  • 途中入場者の案内(※入り口付近の席は途中入場者用に空けておきたい)
  • 当日フロアの担当へ、タイムスケジュールと準備するものを共有
    • 一目でスタッフと判別できるよう服装を統一したり、スタッフパスを作成したり
  • 前説や客出しアナウンス原稿の用意と、担当者を事前に決めておく
  • 客出しタイムリミットの目安時間を設定
  • 空調設備の調整方法を把握
  • ゲネプロを利用し、事前に客席状況を確認
    • 各座席から観て見栄えの悪いものが見えてしまってないか
    • 聞こえない音はないか、見心地の悪さはないか(暑い、寒い、イスかたいetc)
    • 必要に応じ、一部の客席を使用禁止にするなどの対策
  • 楽屋の整理
  • ゲネプロ動画の撮影(必要あれば)

その他に気をつけたいこと

  • 扉をテープ等で貼って封鎖するのは、非常時の際に危険なのでNG
  • 技術スタッフに弁当は好まれません(片手で食べれる種類がGood)

小さな劇場の場合

  • 十分な量のトイレットペーパーを補充
  • 客電スイッチがお客様通路にあったりするので、塞ぐなどして対策
  • 換気方法の確認や、必要に応じ消臭スプレーを用意(公演と公演の合間など)
  • 傘たては入口にあるのか
  • ウェルカムマットの設置

精算作業

公演が無事に終了した後は、支払いが残っているもの(個人の立替え含む)全てを精算し、収支を出します。
  • 最終的な集客数
  • 収入/負債の算出

お礼状の作成

状況にもよりますが、お世話になった方々へ、終演できたことについてコメントしたメッセージを送付するようにしています。

その他、公演アンケートの確認や反省点の振り返りなどをして、次回公演の向上につなげていきます。